大口径高圧噴射攪拌工法
「ジェットクリート工法」
岩ずりなど様々な地盤をオーダーメイドで改良
鹿島グループのケミカルグラウトが開発したジェットクリート(JETCRETE)工法は、砂質土、粘性土地盤だけでなく、従来改良が難しかった岩ずりを含む砂礫地盤など、様々な地盤を対象に、改良径(直径0.5m~8.5m)と強度(0.1MN/m2~10MN/m2)を任意に設定できるオーダーメイドの地盤改良工法です。従来工法に比べて、産業廃棄物の量が少なく、高圧噴射の高性能化による工期の短縮、改良仕様を状況に合わせて設定できるためトータルコストの軽減を実現できます。改良の際、切削した土砂を、地上に排出させるため、周辺構造物に変状をきたすことが少ない工法です。小型施工機械を用いることで、狭隘な場所でも施工できます。
※「ジェットクリート」はケミカルグラウトの登録商標です。
岩ずりを含む砂礫地盤での施工実績
(愛媛県、岸壁の液状化対策)
- キーワード
- 軟弱地盤、液状化、対策、地盤改良、深層混合処理、高圧噴射、大口径、オーダーメイド、基礎、杭、補強
施工手順・適用事例
ジェットクリート工法は、超高圧のセメント系固化材とエアーを地中に噴射しつつロッドを回転させ、地盤を切削・撹拌することにより円柱状の改良体を造成します。本工法を支える基盤技術の一つが切削するための特殊噴射装置です。ジェットの流線が拡散しない、エネルギー効率を最大限に高めた特殊噴射装置により、従来工法と比べ自由度の高い施工を可能にしています。
施工法の概要
実証実験結果
橋脚などを支える基礎の耐震補強もジェットクリート工法で可能です。東日本旅客鉄道、東京モノレールの監修の下、鹿島が開発した鋼殻補強コンクリート地盤改良工法では、杭基礎周りの地盤をジェットクリート工法で改良することで、構造物を供用しながら杭基礎の耐震性を向上させることができます。
鋼殻補強コンクリート地盤改良工法の施工場所
(東京モノレール)
営業線直下での地盤改良状況
(東京モノレール)
特長・メリットココがポイント
様々な目的にオーダーメイドの最適仕様で改良
砂質土、粘性土地盤、岩ずりを含む砂礫地盤など、様々な地盤を対象に、改良径(直径0.5m~8.5m)と強度(0.1MN/m2~10MN/m2)をオーダーメイドに設定できます。
改良の自由度が高いため、仮設から本設まで、また地山補強、止水対策、液状化対策、耐震補強など多くの工種を対象に本工法を利用することができます。目的に応じて、最適な仕様で改良できることから、その結果、コストの低減や工期短縮が可能になります。
鹿島グループが保有する高圧噴射撹拌工法のラインアップ
高い密着性
高圧噴射攪拌で改良するので、先行改良体と後行改良体の改良体相互が密着します。既存の構造物とも確実に密着した改良ができます。接合した箇所の品質が高いため、改良した地盤の性能(耐震性や止水性等)が向上します。
構造物との近接施工/極めて狭隘な箇所での施工
施工時の改良に伴い発生する地中変位が小さいことから、既設構造物に近接した箇所でも施工できます。また、小型特殊施工機械を用いることで、非常に狭隘な場所や空頭が制限された場所でも施工可能です。
杭基礎の耐震補強
杭基礎周辺地盤を地盤改良することで、基礎の耐震性を向上させることができます。例えば、鹿島が、東日本旅客鉄道、東京モノレールの監修の下、鹿島が開発した鋼殻補強コンクリート地盤改良工法では、杭基礎上部を鋼殻と補強コンクリートで補強し、地中深部の杭基礎をジェットクリート工法で地盤改良することで、基礎の耐震性向上を図ります。
地盤改良による杭基礎の補強事例(鋼殻補強コンクリート地盤改良工法)
適用実績
海上部T型支柱杭(PC)
耐震補強試験施工
場所:東京都品川区
竣工年:2012年4月
発注者:モノレールエンジニアリング
目的:耐震補強
規模:群杭部耐震補強工事4基
鋼殻製作・設置工240t
地盤改良工 Φ3.5m L=15.8m 32本 5,295m3 補強コンクリート896m3
アラミド補強30m2
君津2高炉改修高炉基礎補強
場所:千葉県君津市
竣工年:2012年4月
発注者:新日本製鐵
目的:耐震補強
規模:地盤改良工 Φ3.5m L=4.0m 204本
コアボーリング152本
岸壁の液状化対策
場所:愛媛県
竣工年:2012年6月
目的:液状化・側方流動対策
規模:施工対象土量8,579m3
地盤改良工 Φ3.0m L=8.0m 17本
名港LPG基地護岸流動化対策
場所:愛知県名古屋市
竣工年:2009年2月
発注者:東邦液化ガス
目的:側方流動対策
規模: 地盤改良工
Φ2.5m L=16.5m 135本
Φ2.5m L= 1.6m 2本
Φ3.0m L=16.5m 10本
Φ3.5m L=16.5m 7本
旧法特定タンク新基準適合化
場所:三重県四日市市
竣工年:2011年1月
発注者:三菱化学
施工目的:液状化対策
規模:地盤改良工 Ф2.5m 54本
造成延長459.6m 総改良材436.3m3
大口径高圧噴射攪拌工法
「SUPERJET工法®」
都市土木等の様々な工種の地盤改良に適用可能
SUPERJET(スーパージェット)工法では、超高圧・大流量のセメントスラリーを噴射させ、地盤と混合攪拌することで、最大直径5mの大型パイルを高速で造成します。従来技術であるコラムジェットグラウト工法より大幅な工期短縮とコストダウンが可能です。
鹿島とケミカルグラウト(鹿島グループ会社)が開発し、1993年に初の実施工を行って以来、底盤改良・先行地中梁の施工、シールドトンネルの発進・到達防護、構造物基礎の耐震改修及び液状化対策等、様々な目的・条件下での工事に採用されています。SUPERJET研究会で、N値が200以下の砂質土とN値が9以下の粘性土を対象に、造成仕様や固化材配合を統一し、設計・施工の技術資料を整備していることから、公共工事並びに民間工事で、使いやすい工法になっています。
特許登録済
SUPERJET工法(動画)
- キーワード
- 軟弱地盤、地盤改良、液状化、対策、深層混合処理、高圧噴射、大口径、地震、耐震、補強
施工手順、標準施工仕様による改良体直径
従来技術であるコラムジェット工法は水平一方向噴射で、地盤の硬軟に影響され易いため、直径2.0mを超える改良体の造成は困難でした。SUPERJET工法では、エネルギー損失が少ない特殊整流装置を内蔵した水平対向ジェットモニターと超高圧スラリーポンプを用いることで、品質の向上と改良径の増大を可能にしました。その施工は、ボーリング削孔の後、注入地盤にモニターを建込み、先端のノズルから超高圧・大流量のセメントスラリーを噴射させ、周囲の土砂を削り取りながら混合攪拌することで行います。注入単位時間あたりの改良土量は、高圧噴射攪拌工法の中でも最大級で、従来技術であるコラムジェットグラウト工法の10倍です。
SUPERJET工法は、SUPREJTE25(直径2.5m)、SUPERJET35(同3.5m)、SUPERJET50(同5.0m)の3タイプの施工仕様があります。「SUPERJET研究会:SUPERJET工法 技術資料、平成24年12月」より、SUPERJET50の場合の改良体直径を下表に示します。
施工法の概要(舗装上で覆工板が使用できない場合の例)
標準施工仕様で造成される改良体の直径(SUPERJET50の場合)
特長・メリットココがポイント
標準施工仕様で、様々な目的に応じた改良
砂質土、粘性土地盤を対象に、技術資料に規定された標準施工仕様で施工します。技術資料が整備されているため、公共工事並びに民間工事で、使い易い工法になっています。以下に示すように様々な目的に本工法を利用することができます。
- 底盤改良・先行地中梁の造成
- 発進・到達防護
- 土留め欠損部防護
- 既設大型構造物防護
- 液状化防止
- 人工基礎地盤の造成
- 構造物基礎の耐震改修
鹿島グループが保有する高圧噴射撹拌工法のラインアップ
大口径改良体
最大直径5mの改良体の造成が可能です。
在来工法(コラムジェットグラウト工法)との比較
コラムジェットグラウト工法に比べ、高品質・高速施工が可能です。また、少ない固化材使用量で改良地盤の要求品質を確保できます。さらに、産業廃棄物も大幅に減量化できます。
SUPERJET50
高い密着性
高圧噴射攪拌で改良するので、先行改良体と後行改良体の改良体相互が密着します。既存の構造物とも確実に密着した改良ができます。接合した箇所の品質が高いため、改良した地盤の性能(耐震性や止水性等)が向上します。
構造物との近接施工/狭隘箇所での施工
施工時の改良に伴い発生する地中変位が小さいことから、既設構造物に近接した箇所でも施工できます。また、狭隘な場所や空頭が制限された場所でも施工可能です。
適用実績
東関東自動車道酒々井インターチェンジ
場所:千葉県富里市
発注者:東日本高速道路
施工目的:変位防止、地耐力強化
規模:SUPERJET35 Φ3.5m 58本
造成延長174m 改良土量1,953m3
東京外環自動車道
場所:千葉県市川市
発注者:東日本高速道路
施工目的:先行地中梁、沈下対策、ヒービング対策
規模:SUPERJET35 Φ3.5m 547本
造成延長 改良長さ1,514m
その他に、多数の実績があります。
学会論文発表実績
- 「SUPERJET工法とその装置」,建設の機械化,1992年3月号,1992年3月
- 「スーパージェット工法の試験施工」,基礎工,1991年6月号,1991年6月
- 「大口径地盤改良工法の開発(その1~その5)」,第25回~第27回土質工学研究会発表会論文集,1990年,1991年,1992年,1993年6月,1994年6月