[2018/07/03]
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ドリルジャンボを用いたロックボルト工の機械化施工を実現!
~北海道開発局 大狩部トンネルでその効果を実証~
鹿島(社長:押味至一)は、古河ロックドリル株式会社(東京都中央区、社長:三村清仁)と共同で、山岳トンネル工事におけるドリルジャンボを用いたロックボルト工の機械化施工技術を開発、北海道で施工中の大狩部トンネル工事でその効果を実証しました。
ロックボルト工はいまだ人力による作業が主体ですが、今回開発した技術で機械化することにより格段にスピードアップし、大幅な生産性向上を実現します。また作業員にとっても、肉体的負担からの解放や安全性の向上など、良好な施工環境が実現するだけでなく、機械化に伴う均質な施工により、品質向上効果も期待できます。
3ブームドリルジャンボ
開発の背景
山岳トンネル工事におけるロックボルト工では、穿孔はドリルジャンボによる機械主体の施工ですが、その後のモルタル注入やロックボルトの挿入作業は、未だ人力主体で行っています。
大狩部トンネルの場合、代表断面では1サイクル(奥行き1m)あたり26本のロックボルト(長さ6m)を施工していますが、掘削する時間のうちロックボルト工に要する時間は、全体の1/3を超える37%を占めていました。また、6mのロックボルトは1本当たりの重量が約20kgあり、人力で取り扱うには負担が大きく、安全にも十分注意して作業を行う必要がありました。
そこで、ロックボルト工のうちモルタル注入とロックボルト挿入作業を、ドリルジャンボを用いて機械化することで、生産性と安全性の両面を向上させるべく、開発に着手しました。
機械化施工技術の概要
1.モルタル注入作業
3ブームドリルジャンボのセンターブームをモルタル注入専用とし、このブームのドリフター(削岩機)にモルタル注入管を設置します。ドリフターの操作により穿孔部に注入管を挿入し、モルタル注入まで行える機構を開発しました。
モルタル注入装置
2.ロックボルト挿入作業
残りの2つの穿孔用ブームを用い、ガイドセルに設置した受け架台とドリフター後方に設置したホルダーからなるロックボルト挿入装置を考案しました。この挿入装置にロックボルトをセットし、ドリフターの操作によって穿孔部にロックボルトを挿入、最後に先端部の挿入パッドで確実に押し込みます。
ロックボルト挿入装置
大狩部トンネル工事での実証
本システムを大狩部トンネル工事に導入した結果、施工性に問題がないことを確認するとともに、モルタル注入、ロックボルト打設作業が機械化施工となったことで、1サイクルあたりのロックボルト工の作業時間が102分から75分と約3/4に短縮しました。また、作業員も肉体的負担の大きい作業から解放されるとともに、肌落ちの危険性がある切羽近傍における人力作業を最小限とすることで、安全性が飛躍的に向上しました。
モルタル注入作業
ロックボルト挿入作業
今後の展開
大狩部トンネル工事では本システムを継続的に適用し、作業環境を大きく改善しています。当社は本システムを山岳トンネル工事に適用するとともに、削孔誘導システムMOLEs(モールス)などとの連携や、更なる施工の効率化を目指し、技術開発を進めていきます。
工事概要
工事名 | : 日高自動車道 新冠町 大狩部トンネル工事 |
発注者 | : 国土交通省 北海道開発局 室蘭開発建設部 |
工事場所 | : 北海道新冠郡新冠町 |
工期 | : 2016年10月~2021年3月 |
施工者 | : 鹿島・宮坂特定建設工事共同企業体 |
工事諸元 | : NATM、トンネル延長2,151m、幅員13.5m、内空断面積100.3m2 |
(参考)
モニター上でブームを合わせるだけ!新しい削孔誘導システムを開発

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